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【番外編】松本城と怪獣(禍威獣)たち

コロナ禍等いろいろございまして、2年余り新しい記事の掲載をお休みしてしまいましたが、この「番外編」をきっかけとして、この6月1日より「松本の古写真」を再起動させていただきます!
次からちゃんと古写真の考察をいたしますので、どうか今度ばかりは「初代ウルトラマン世代」の道楽におつきあい下さい

 

令和4年5月27日20時から48時間限定で、映画「シン・ウルトラマン」の冒頭部分がYouTubeに公開されました。
早々に劇場に足を運ばれたみなさまは既にご存じかと思いますが、そこにわれらの「松本城」が登場します!
(この内容は元々もっと後に公開しようと思っていた記事だったのですが、期間限定ながら冒頭部分が一般公開されたため、この場面のご紹介が「ネタバレ扱い」ではなくなったと判断し、投稿したしだいです。もちろん、本編も含め素晴らしい作品ですので、ぜひ劇場にもお運びください!

それにしても、48時間で127万アクセスは凄いですね。(同一IPアドレスからの複数回視聴は1回しかカウントされないようですし)

さて、松本城が登場するのは、昭和41年(1966年)のテレビ番組「ウルトラQ」第12話「鳥を見た」のオマージュシーン。天守の近くを「古代巨鳥ラルゲユウス」が飛翔します

まず、オリジナルのウルトラQの映像です。

 

地元ファンからすると、昭和41年当時の映像に映る天守の造りは、元々どう見ても「松本城」でした。しかし直前場面の映像が、映画「空の大怪獣ラドン(昭和31年)」のため撮影された、ラドン・福岡襲撃シーンの流用であったため、これまで同じ九州の「熊本城」説も有力だったのです。
しかし今回、晴れて「松本城」であると公式認定され、松本市民として喜ばしい限りです。

でも、ちょっと「あれ?」と思うところがありました。
そこで「なんちゃって禍特対」松本支部の私は、さっそく調査に向かいました!

松本城が出てくるシーンは2カット。
 

調査の結果、最初のカット:天守とラルゲユウスがアップで映っているシーンは、天守から東側の「二の丸御殿跡」から撮影されたものであることが判りました。
カメラは「西」を向いており、ラルゲユウスは東向きの状態です。
この映像だと怪鳥が天守の目の前に居るように見えますが、望遠レンズにより相当拡大されて映っていることから、この時点では一応「まだ一定の距離がある状態」ということにしておきたいと思います。(理由は後ほど)

 

 

続いて、2カット目のラルゲユウスが何処かへ飛び去っていく映像。
こちらは天守の北西、若宮八幡跡付近からの撮影です。したがってカメラは「南東」を向いています。
つまり、ラルゲユウスは西の方角へ飛翔していくのです。

 

 

以上から、カメラの配置と撮影方向はこんな感じだと思われます。

 

とすると...
ラルゲユウスは松本城の天守の西側から、何処かを経由して東側に廻り込み、最後に西の彼方へ飛び去っていったことになります。
2カット目を最初から注意して見ると、ラルゲユウスが通過するまで天守南側の空は澄んでいて、砂ボコリは舞い上がっていなかったことがわかります。したがって、怪鳥が旋回したのはお城の北側の空である可能性が高いと思われます。
いずれにせよ、ラルゲユウスは1カット目の状態から、そのまま「直進」した訳ではないのです。

これらを総合的に判断し、ラルゲユウスの飛翔ルートを推測してみました。

このルートなら、松本城天守から直線距離で北へ約500m、令和の国宝指定第一号「旧開智学校」も上空から見物できるでしょう!
ラルゲユウス、お目が高い!!

 

しかし何と!ラルゲユウス以前にも松本上空を周遊し、飛び去っていった怪獣がいたのです!!
それは昭和39年(1964年)の映画「三大怪獣地球最大の決戦」に登場した「宇宙大怪獣キングギドラ」です。

キングギドラは、宇宙から隕石に乗って黒部渓谷(富山県)に飛来します。
そしてすぐさま松本市に姿を現すのですが、映像では逃げ惑う市民の上空で、まずお城の西側(松本市の西部)を旋回する様子が描かれます。(まだ点のような大きさですが)
この場面は天守東側の「松本市役所」屋上からの撮影です。

 

 

その後、キングギドラは天守上空を通過します。
大天守から乾小天守の方角...。すなわち「南から北」に向けて飛び去っていったのです。

 

 

キングギドラはこの後、東京へ向かいます
本来なら、黒部渓谷からまっすぐ東京へ向かえば良いところ、なぜか下図のように、松本市周辺でウロウロしていた様子が推察されるのです。

因みにこの経路だと、キングギドラも昭和39年8月に移築竣工したばかりの「旧開智学校」上空を通過したに違いありません。松本城から旧開智学校に向かうコースは、怪獣にとっても定番の観光ルートだったのですね!

それにつけても特筆すべきは松本城天守の「頑強さ」です!
ラルゲユウスやキングギドラによる激しい風圧が直撃しているはずなのに、瓦が吹き飛ぶなど一部に損壊がみられるものの、倒壊には至っていません。

因みに、松本城の後に訪れた「東京タワー」は、キングギドラがただ横を通過しただけで倒れてしまいました...。 ということは「松本城の強度 > 東京タワーの強度」?!

 

 

 

しかし、このように「超頑丈な松本城天守」も、残念ながらある怪獣の出現によって破壊され、こともあろうに焼き尽くされる悲劇に見舞われます。
それは、昭和46年(1971年)のテレビ番組「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」の第28話と29話に登場した「凶悪怪獣サラマンダー」の仕業です。

登場人物の会話で「松本」の地名が明言されていますので、造りは少々粗いですが「松本城」に間違いありません。

 

ミニチュアと分かっていても、こういう画面はショッキングですね...。

最後は(お約束通り)スペクトルマンが松本城のかたきを討ってくれる訳ですが、こうなってしまうと400余年の歴史を重ねた天守はもう戻ってきません
天災・人災からしっかりと文化財を守っていくことの大切さを、あらためて強く実感させてくれる映像です

 

おっと!
地元のウルトラファンとしてもうひとつ忘れてはならないエピソードがありました
時は流れて平成10年(1998年)7月。
「ウルトラマンダイナ」第46話で松本市に怪獣が現れます。
 
その名は「恐怖エネルギー魔体 モルヴァイア」。

アスカ隊員が松本城二の丸でウルトラマンダイナに変身。
モルヴァイアをキックで天守から遠ざけます!
 
その後の闘いの場面では、松本城が映し出されることはありません。
ダイナは天守を完全に守り抜いたのです!
(大人の事情でお城のミニチュア製作ができなかっただけかも...)

 
特撮シーン以外も、四半世紀前の松本を舞台にした、とても魅力的なストーリー展開ですよ!

 

...というわけで、今回は「松本城」と「シン・ウルトラマン」「ウルトラQ」「三大怪獣地球最大の決戦」そして「スペクトルマン」「ウルトラマンダイナ」との関わりをご紹介しました。
みなさまにも、機会があればぜひこれらの映像作品をご覧いただきたいと思います。

制作からわずか数十年の歳月しか経っていない作品群ですが、子供文化を含む風俗とか、物事の捉え方に、現在と大きな隔たりを感じる表現が随所にみられます。
まして100年、200年前、1000年前の出来事を、私たちの価値観・倫理観で理解するのは相当に難しいことなのでしょう。

古写真研究の場合は、せいぜい150年間の歴史に関わる程度ではありますが、それでもこれら作品群と現在との感覚のギャップを意識しながら、さらに遡った100年前以前の撮影者やそこに写る人々に思いをいたすのは、楽しみでもあり、またとても大切なことだと思っています。

 

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